杉真理の世界-BOX POPS-

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A Radio Story

ボックス・ポップス(BOX POPS)

BOXPOPS

僕が初めて買ったCDがこのBOX POPSでした。だから1曲目のTemptation Girlのイントロのギターの音にビックリした記憶があります。若い人は分からないと思うんですけど(笑)レコードって針の落ちる音や針が溝を滑る音が聞こえてきて「来るぞ来るぞ〜」という期待感があってから初めて音が出てきたんです。でもCDだといきなり音が出てくる!これは本当にビックリでした。今じゃ考えられないでしょうけど(笑)初めてのCDがこのアルバムだったおかげでそれ以外はすぐになじむ事ができました^^12曲の長丁場もあっという間だったし♪と、いうのもデジタルでありながらアナログにこだわった作りをしているんです。(もちろん、LPでも発売されてましたから当たり前なんですけど)終始、ビートルズにこだわった曲調はもちろんの事、ノンエコーのサウンドや擬似ステレオを意識した定位など遊び心も忘れていません。いや、むしろその遊び心こそがBOXの真骨頂なんだと思うんですよね。ちなみにメンバーは杉真理松尾清憲小室和之田上正和の4人。ドラムはなんとあえてデジタルを使用。これがまた不思議とリンゴのフィーリングが出てるから面白いんです。今回、フレーズや音色や歌詞でビートルズを感じさせるものは全て書き出そうと思ったんですけど、キリがないのでやめました(笑)書くのは最低限の引用だけ。あまりネタを書きまくるのも野暮ですものね(笑)


発売日


★各曲の感想★

Temptation Girl(Temptation Girl)

Temptation GirlBOXの4人が集まって曲作りを始めた夜に最初に書きあがった曲で、タックス・マンドライヴ・マイ・カーを彷彿させるロック・ナンバーです。ビートルズを意識した曲を他のアーティストがやるとコード進行だけを意識したものになりがちなんですけど、この曲の様に色々な要素が贅沢に使われている曲というのは本当に珍しいと思うんです。そういう意味ではむしろニルソンユー・キャント・ドゥ・ザットの雰囲気さえも感じ取る事が出来ます♪ビートルズの特徴ってジョンポールジョージリンゴの4人がそれぞれに好きなフレーズを曲中に積極的に入れていたところにあると思うんです。BOXはその雰囲気を何よりも忠実に再現してるんです。パクリとかパロディーではなくリスペクト。だから彼らの音は本物なんです。曲の内容は熱烈なラヴ・ソングで、「もしも君が〜」の部分は曲中の「僕」と「彼女」の成りゆきを見守るBOXの「声」。『もやもやしている「僕」がふとラジオに耳を傾けたら流れてきたフレーズ』と僕は解釈しています。これもツイン・ヴォーカルだから出来た世界観ですよね♪ちなみにサビで本当のメロディーを歌っているのは小室和之。なのに何度聴いても杉さんが主旋律の様に聴こえてしまいます。これぞ、BOXマジック。杉、松尾の共作なのにどちらの作風とも言えないのもマジックです。

お気に入りの歌詞:もしも君が奇跡を 信じるなら 理由など考えてちゃ 消えてしまうのさ

魅惑の君(Fascinating Lady)

夢と現実のはざまを行き来するオフィスレディーの歌です。歌詞の中にも「ビクトリア時代」「宮殿のバルコニー」という言葉が出てくる一方で現実的な「オフィス」や「ランチタイム」という言葉の対比がなされています。優しく語りかけてくるようなボーカルが素敵な1曲で、まるで杉さんがすぐそこで歌ってるように錯覚してしまいます。アナログならなおさらそうなんでしょうね♪中間部の女性の声はオドーリー・ヘップバーンの吹き替えでお馴染みの池田まさこさん。最初聴いた時は声を失いました!だって、オードリー・ヘップバーンが「この書類コピー取るんだったわね」ですよ!(笑)まさかここまで日本語でやってしまうとは、そのアイデアに脱帽です。ちなみにエンディングでは映画「ティファニーで朝食を」が再現されています。お相手はジョージ・ペパードではなく、杉さん自身(笑)

お気に入りの歌詞:願い事のコピーは とれないよ

アルタミラの洞窟(The Cave Of Altamira)

松尾清憲の声の魅力が最大限に生かされたサイケデリックな曲で、特に歌い出しがすごく好きです♪単語や音の選びにもジョンのエッセンスがちりばめられていて、うらやましいくらいにビートルズのテイストがセンスよく消化されています。地下鉄の落書きの前でふとアルタミラの洞窟の壁画を思い出し、両者をオーバー・ラップさせた世界観が歌われています。ちなみにアルタミラの洞窟とは1985年に世界遺産に登録された壁画が有名なスペインの遺跡です。(アルタミラとは「上から見る」という意味のスペイン語。)2万年の時を越えて現代に現れたアルタミラの洞窟はその頃から人々が相手に何かを伝えようとしていた事を僕らに教えてくれました。そしてそこから絵画や、歌などが次々に生み出されるようになったんです。その原動力になったのはいうまでも無く「」。そうまさに”Love is all”。ちなみに僕らがこの世から居なくなって何万年もの時が過ぎたら地下鉄の落書きさえも世界遺産になるんでしょうか。もちろん愛があれば両者に差なんて無いですものね(笑)

お気に入りの歌詞:涙の粒子に しるされてる 幾千もの言葉は ”Love is all”

風のBad Girl(Bad Girl)

風のBad Girlこのアルバムの中で最後に書かれた曲で、シングルのA面として発表されました。キャッチーなTemptation Girlを選ばず、あえて風のBad Girlをデビュー曲に選ぶあたりに本気さを感じてしまいます。だって、ビートルズのデビュー曲も「ラヴ・ミー・ドゥ」でしたしね♪(意味分からないですよね・・・。)とにかくイントロのハーモニカにすっかりやられてしまいました。微妙にビブラートがかかってるという芸の細かさはもちろん杉さんのしわざだろうと思われます。そして歌に入って杉&松尾のハモリのバックに聞こえるコーラスの竹内まりやの声!彼女のおかげでまるで「恋のかけひき」の様な60年代の空気が再現されています♪シンプルな曲でありながら何度もつい聴いてしまうそんな曲です。曲はBad Girlも本当は寂しがりやさという内容です。

お気に入りの歌詞:恐れる自分を 恐れてはだめさ

人生はコーンフレーク(Life Is Like A Cornflake)

コーンフレークという言葉の選び方がジョンっぽいです。たしか「アイ・アム・ザ・ウォルラス」にも出てくる小道具で、僕にとって印象的な単語なんです。ちなみにマーマレイドというのも僕にとってジョンを連想させる単語の1つです。この曲のタイトルを見たとき、松尾清憲と僕がひょっとして同じ感覚だったのかなと思いすごく嬉しかった記憶があります。タイトルで思い出したんですけど僕は最初、「人生」という言葉は「Life」という言葉に対して味気ないという意味の曲だと勝手に思っていました(笑)実際は「生きる」という事をシニカルな視点で描いた曲で哲学的な事を歌う松尾パートと日常的なことを歌う杉パートの比較がユニークです♪鈴木慶一氏が自称ジョージ・ハリスン役で参加しています^^

お気に入りの歌詞:人生は散らばっているコーンフレーク 誰かの悪い冗談だろう

Train to the heaven(Train To The Heaven)

イントロのギター・フレーズがなんともユニークな1曲でビートルズの4人の事が物語風に歌われています。ビートルズで言えばカム・トゥギャザーの様に、1番がジョージ・ハリスン、2番がリンゴ・スター、3番がポール・マッカートニー、4番がジョン・レノンと順番に物語を展開します。さて、このTrain to the heavenに乗った4人は様々な夢を世界中に振りまきましたが帰って来るときに1人が電車に乗り遅れてしまい、もう1人も最近この電車で天国へ旅立ってしまいました。バックではKANも参加しています。

お気に入りの歌詞:小さなバンドが 彼を変えたのさ

Crazy Afternoon(Crazy Afternoon)

1960年代のテレビ・シリーズが小道具で登場する曲です。「宇宙家族ロビンソン」や「名犬ラッシー」など懐かしい名前が曲中に現れます。サウンドや歌詞のおかげで昭和30年代ではなく1960年代と呼ぶに相応しい曲調になっています。この辺りのギリギリのムード選びがこのアルバムの凄いところだと思っています。古さを逆手に取った新鮮な音作りは杉さんの得意にするところだと思います。この曲にもコニー・フランシス風の夏を感じてしまいます(笑)この曲を聴くとテレビを見るために急いで家に帰る少年像は今も昔も実はあまり変わらない気がします。そして全て作り物だと注意されたテレビの世界は夢や希望に溢れ、大人になって見つめた現実はまさにホラー映画そのもの・・・というちょっと皮肉めいた内容になっています。ゲスト・ヴォーカルに財津和夫氏が参加しています。ちなみに僕はこの曲を聴くたびアンジェラ・カートライトを思い出してしまいます(笑)

お気に入りの歌詞:時計は不思議な魔法陣のメリーゴーランド

ヒットメーカーの悲劇(Wanna Be A Hit Maker)

アイ・フィール・ファインペーパーバック・ライターを彷彿させるナンバーです。曲の内容的には「ペーパーバック・ライター」に近いかも知れませんね^^1978年発表のSWINGYに収録されていたInspirationと同様に作家の心情や苦悩を歌い上げた曲です。本当は心からロックン・ロールを愛する主人公が仕事で他人に歌謡曲ばかり書いていくうちにだんだん自分のやりたい事が分からなくなっていくという内容の曲です。小室和之のポールばりのシャウトが楽しめます♪

お気に入りの歌詞:今では自分の趣味さえわからない

Ordinary Friend(Ordinary Friend)

これぞ、杉さん!というタイプの曲です。松尾清憲の声が入る事で今までと全く違う手触りになっています。こういうマイナー・タイプの曲を書かせたら日本でおそらく杉さんの右に出る人は居ないんじゃないかと思います。ナイアガラ・トライアングルに収録されていてもおかしくない雰囲気の曲調を松尾清憲のソロ、田上正和のギターが破壊します(笑)特にギターのソロは凄まじいです(笑)絶対に杉さんのソロではありえない音色のギターが炸裂するんです。でも、聴いてるうちにだんだんと美しい響きに聴こえてきます。これもBOXのマジックの1つなんですよね^^別れの歌なんですけど、言葉が少ないので逆に色々と物語が頭の中に広がって来るような曲です。

お気に入りの歌詞:僕らは今 Ordinary friend もう you & me じゃない

What time?(What Time?)

よく言えば即興、悪く言えば気まぐれの産物の様な曲です。ビートルズで言えばジ・エンドエヴリボディーズ・ゴット・サムシング・トゥ・ハイド・エクセプト・ミー・アンド・マイ・モンキーの様な遊びの曲。でも、ある意味一番このバンドの雰囲気を伝えてくれてる気がします。最後の一言は伊藤銀次。

お気に入りの歌詞:What time? What kind? What's wrong?

Wendy(Wendy)

アルバム「SABRINA」を彷彿させる曲で、このアルバムの中で最も杉さんのソロに近い作風の曲です。(タイトルが女性の名前なのも^^)杉さんがキーボードでストリングスのパートを全て演奏したらしく、ここではジョージ・マーティン役までこなした事になります(笑)最初に聴いた時はポールが「ヤァ・ブロードストリート」でリメイクした「エリナー・リグビー」をすぐに思い浮かべたんですけど、分かる人少ないですよね(笑)

お気に入りの歌詞:素敵にはにかんで 古い愛し方で

゛2010"(Dreams Last Forever)

本国イギリスでさえも作り手の居なくなった本格的な大英帝国サウンドです。今でもそうですけど、当時もほとんど耳にすることは無いほど伝統的なサウンドでした。ビートルズの「愛こそはすべて(オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ)」を彷彿させるような曲で、途中でポールの「心のラヴ・ソング」の様なニクイ演出もあります。この曲がエンディングのおかげでアルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」の様な後味が常に残ります♪この曲の杉&松尾コンビの歌の対比は他の曲の比ではないほど大好きです♪松尾清憲の声って倍音を多く含んでいて普通に歌ってるのにエフェクトがかかってるみたいだし、対する杉さんの声はすぐ目の前に居るんじゃないかってくらいリアルだし^^この原稿を書いている今が2005年。あと5年後の2010年の年明けには絶対聴きたいと思っています。この曲を初めて聴いた時には、2010年なんてかなり先の様な気がしていたのに、気づけばもぉあと5年後。時の過ぎるのは早いものですね(笑)

お気に入りの歌詞:誰もが泣きながら 生まれてきたのさ ほほえみを いつか手に入れるため


収録曲目一覧

太字はシングル曲、Bonus Tracksは2008.11.19の再発盤のみの収録です。

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