杉真理の世界-NIAGARA TRIANGLE VOL.2-

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A Radio Story

ナイアガラ・トライアングルVol.2(NIAGARA TRIANGLE VOL.2)

NIAGARA TRIANGLE VOL.2

ニュー・ミュージックに対抗する音楽ジャンルとして「ジャパコン」というジャンルが打ち出されたことがあります。もちろん一般に浸透する事はなかったんですけど・・・。その席で大瀧詠一の口から発表されたのがこのナイアガラ・トライアングルのVol.2でした。このユニットに佐野元春とともに杉さんも参加することになるんですけど、ここから彼の大躍進が始まります。1981年の10月21日にまずシングル「A面で恋をして」が発表されました。(この曲は資生堂のコマーシャルソングとして起用されました。)翌年にはアルバムの製作が決定。アルバムには先に発表された「A面で恋をして」のほかにそれぞれが4曲ずつ持ち寄って計13曲が収録されました。実はこの時まで僕は大瀧詠一佐野元春の大ファンだったんですけど杉真理というアーティストの存在は知りませんでした。そういった意味でも個人的に記念すべきアルバムです。しかもこの後しばらくは佐野元春のアルバムと微妙にアルバムコンセプトがリンクしていきます。また、いわいる「杉さんらしさ」が分かりやすい形で初めて示されたという事でも興味深いアルバムと言えます。全部の曲の感想を書きたいトコですけど、今回は杉さんの参加ナンバーだけということでお許しください。

ナイアガラトライアングルが発売されて20年経った記念に出たアルバムです。オリジナルに数曲加えた構成になっています。まず最初に思ったことが、20年前のアルバムなのにCD向きなアルバムだった事にビックリ!ほとんどの場合、もともとLPを持っていたアルバムをCDで聴くと違和感を覚えるんですけど、このアルバム、CDのフォーマットの方が聴きやすいから不思議です。コンピレーションだからという事もあるんでしょうけど1曲目から最後の曲まで通して聴くというのを前提に曲が配置されてたんですよね。だからというわけではないんですけどボーナストラックも何の違和感もなくスッと聴く事が出来ます。この辺は曲順のほかに選曲にも気を使っているからだと思うんですけど。あと、20年ぶりにじっくりと聴き返してみると、もぉひとつの発見がありました。それは杉真理大瀧詠一はどちらも、自分のソロでやっていた音楽をここでやっていて、20年経った今でもそれを実行しているのに対して佐野元春は自身のアルバムとは全然違う事をやっていたという事。ナイアガラサウンドに溶け込んで気が付かなかったんですけど、こういう曲調は実はこのアルバムでしか聴けない貴重な曲ばかりが収録されています。杉ファンにとっては原点。元春ファンにとっては貴重なテイクの収められているアルバムという事が出来ます。(こちらは2002年3月21発売の20th Anniversary Editionの感想です。)


発売日


★各曲の感想★

A面で恋をして

ヴォーカル参加ということで取り上げました。このアルバムでこの曲に参加したことが杉さんの詩の世界をものすごいスピードで進化させたような気がします。「クラクション鳴らして・・・」という歌詞はデビュー・シングルになるはずだった「悲しきクラクション」を意識したものでしょう。この歌詞の小道具の使い方は後の「Key Station」やポップス・オール・スターズの「Yellow Christmas」などに引き継がれる事になります。僕自身もこの曲はリレー・ヴォーカルのお手本となる作品になりましたし、これ以降組んだバンドは全て3人組という徹底した影響を受けました(笑)

お気に入りの歌詞:星空はまるでミラーボール クラクション鳴らして 今夜君を迎えに行くよ

Nobody

ジョン・レノンの事を書いた曲です。ジョンの曲にはNobodyという言葉がひんぱんに出てきます。一番ジョンらしいこの言葉をタイトルにした事で本当にジョンがこの世からいなくなった悲しみが表現されている気がします。(ちなみにお気に入りの歌詞で選んだフレーズはビートルズの「ジュリア」からの引用と思われるフレーズです。)そしてこの曲で初めてビートルズエイジであることを真正面から表現した事になります。1986年発表の「Sabrina」までが一応僕の中で杉さんの前期という扱いになってるんですけど、その「Sabrina」の最後に収録されている「My idol」も実はジョンの事を歌った曲です。また、このNobodyという曲にはコーラスで佐野元春が参加していてそれもまたビートルズテイストを強めています♪最後に松本隆の小説「微熱少年」(後に映画化されました。サントラに杉さんも参加。)の1節にジョンのことを良くあらわしたシーンが出てきます。ここで紹介すると。

「『ノーウェア・マン』の意味を知ってるか?」
「何処にもいない人じゃないのか」
「スペルはNOWHEREだろう。WとHの間にハイフンを入れてみな」
「NOW-HEREだ」
「訳してみな」
「今、ここにいる人」
「同じ単語で意味が正反対になるだろう。これがジョン・レノンのセンスなんだ。天才だよ。」

お気に入りの歌詞:君の話す言葉の 半分は意味がない

ガールフレンド(Girlfriend)

今回のVol.2ではひとつの目玉がセルフカバー曲佐野元春沢田研二に書いた「彼女はデリケート」、そして杉さんがセルフカバーしたのが竹内まりやに書いた「目覚め」の歌詞を変えた「ガールフレンド」です。御大としては須藤薫に書いた「Love Again」を希望してたらしいんですけど、杉さん初めて他人に提供したという思い出を大切にした結果、ガールフレンドに決定しました。歌詞にも登場しますけれど感想のピアノのメロディーがなんとも悲しく美しい曲です。

お気に入りの歌詞:会うたびに君を笑わせた 想い出がかすむ

夢みる渚(Dreaming On The Beach)

夢見る渚 実は今回の杉さんの参加曲にはイントロらしいイントロのない曲ばかりです。この曲だけ唯一それっぽいフレーズが付いてるんですけど、それでも1小節ちょっと(笑)意外な事にこの曲が杉さんの「夏っぽい曲」第1弾になります。もともとは竹内まりやのシングル用に作られた曲だったんですけどボツになりナイアガラトライアングルで復活、5枚目のシングルとして82年の3月21日にシングルカットされました。(B面はラストナイトナイアガラトライアングルに取り上げられた理由は大瀧詠一の「松田聖子が歌うと良さそうないい曲。」という理由だったそうです(笑)ヘッドホン・ステレオを聴いている女の娘の大声の返事に笑ったというシーンが印象的なサマーソングです。

お気に入りの歌詞:渚のカセットは くり返すいつもLONG VACATION

Love Her

B面の1曲目にイントロなしの曲。インパクトありすぎです(笑)こういうタイプの曲が決して多いわけではないのに一番杉さんらしい感じがする曲です。自分の中の杉ベスト5に必ずランクインするほど大好きな曲。実はこの曲をきっかけにして杉さんファンになったので個人的にも色々想い出が詰まっています。(そう言えば初めて杉さんの曲をコピーしたのも実はこの曲でした。)ビートルズのエッセンスをこんなに素敵にちりばめられるのはある意味職人芸とも言えますよね(笑)ちなみに同じ雨を歌った曲の「Water Color」と聴き比べるのが当時のお気に入りの聴き方でした。色彩感豊かな歌詞は松本隆との出会いによって生まれた杉さんの新たな詩の世界だと思っています。こうして、このアルバム全体を振り返ってみると佐野元春の「彼女はデリケート」や「Bye-Bye C Boy」も含めて隠れキーワードが「ビートルズ」だった事にような気がしてくるから不思議です(笑)

お気に入りの歌詞:心の片隅の 君は一人爪を噛む


収録曲目

太字はシングル曲、Bonus Tracksは2002.03.21の再発盤のみの収録です。

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