杉真理の世界-OVERLAP-

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 A Radio Story

オーヴァーラップ(OVERLAP)

OVERLAP

杉さんのアルバムの中で最も異色なアルバムがこの、OVERLAPです。ナイアガラ・トライアングルのトリビュートともいえるような内容は他のどのアルバムにもない独立した雰囲気があります。このアルバムが1番好きだという人も多いと思いますし、日本の名盤特集というような企画でもよく紹介されるのを目にします。確かに名盤なので、それは嬉しいんですけど、こういうタッチのアルバムは他の杉作品にはないのに、1番杉さんらしいアルバムに感じるのは「曲調がハマり過ぎているから」なんでしょうね(笑)SFチックなジャケットにオールディーズな雰囲気満載の曲調というミスマッチもイカしてます!歌詞の中には松本隆調の色彩感が豊かなものもあって、ナイアガラトライアングルの要素をいい具合に消化したのが伝わってきます。そのせいか杉作品の中では最もカラフルな印象を受けるアルバムに仕上がっています。同時期の佐野元春のアルバムは「SOMEDAY」。ナイアガラトライアングルvol.2が好きな人ならこの2作品を聴き比べてみると2人のナイアガラからの影響のポイントが違うのが分かって非常に面白いと思います。また、OVERLAPは最もシングルが切られたアルバムなので入門編としても最適です。それにしても、アルバムタイトルのOVERLAP(一部が一致するという意味。)ってよく考えられたタイトルですよね。


発売日


★各曲の感想★

Lonely Girl(Lonely Girl)

Lonely Girl元々はナイアガラトライアングルvol.2のために書き下ろされた曲です。「♪夜明けまで〜」のフレーズが印象的な杉ポップナンバーです。杉さんの曲調の特徴はサビだけが盛り上がるようなJ-POP調の曲ではなく、メロディーがまんべんなく展開するポール・マッカートニー調の曲が多くて、割とサビはさらっと流す事が多いんですけど、OVERLAPではサビを意識的に前に出した作品がアルバムのポイントに配置されています。この辺りもナイアガラトライアングルからのお土産という感じがします。この曲に出てくる夢見がちで寂しがり屋の彼女は、後の作品にも度々登場する杉作品のヒロインです。そういう意味で彼女にとってのデビュー作という勝手な位置付けを個人的にしています(笑)1982年5月21日に6枚目のシングルとしてカットされました。(B面は恋のフォトグラフ

お気に入りの歌詞:夜明けまで そばにいて 君と踊りたい

ラストナイト(Last Night)

ラストナイト初期の頃の特徴であるラズべりーズ・タッチのロック・ナンバーです。この曲のヒロインは竹内まりやでスーツケースの男が山下達郎という説がありました。もちろん、そんな事は無いそうです(笑)凄い説ですけど・・・。この曲の聞き所はそんなところではなくて、間奏部です。観客の歓声の中で杉さんがシャウトしているのは全てビートルズの曲のタイトルだったって事、気付きましたか?そして何曲聞き取れましたでしょうか?前作の「Songwriter」のところでも書きましたが、このラストナイトは「Don't Stop The Music」への流れを感じてしまいます。この曲の主人公のその後気持ちが「Don't Stop The Music」。そう思って聞くと世界観が広がるから不思議です。シングル「夢見る渚」のカップリングとしてアルバムに先立ち発表されました。

お気に入りの歌詞:恋は苦いゲーム もう2度と信じないハッピーエンド

渚のエンジェル(Little Girl)

ビーチボーイズの「ディズニー・ガール」にインスパイアされて出来た曲。杉さんいわく、史上最大の曲と言われるこの曲の影響を受けた曲は他に「街で見かけた君」や「素敵なサマーデイズ」などがあります。曲中にも「最高だよ”サーフィンU.S.A”」というフレーズも出てきますし、ビーチボーイズ気分が最高潮に達した曲です。まるで映画のワンシーンを描写しているような歌詞の世界は今や杉さんの代表的な作風の様な気がします。だからというわけではないんですけどこの曲は数ある夏POPの中でも1、2を争うほど好きな曲です。毎年行く沖縄には必ずもって行くほどですから(笑)

お気に入りの歌詞:時が過ぎても そのままでいて 渚のエンジェル

フランシス泣かないで(Don't Cry Francis)

フランシスのことを男の人だと思うのが多いのはきっと映画好きの杉さんからの連想がフランシス・コッポラだからではないんでしょうか(笑)個人的にはフランシスと聞くとコニー・フランシスを思い出してしまいます。とても美しいメロディーを持ったラヴソングです。別れる運命にある恋人同士の最後の瞬間を描いた曲で歌詞も美しいんです。とくに「君を不幸にしそうだよ」というフレーズに当時照れまくった記憶があります。じっくり味わって欲しい曲です。

お気に入りの歌詞:君を不幸にしそうだよ

Simulation Game(Simulation Game)

Simulation Gameモータウン調のナンバー。シュミレーション・ゲームで遊んでいるうちにそのゲームの事を歌に出来ないかと思って出来た曲だそうです。どこか冷めたオフィスレディを口説こう(?)としてる歌です。どちらかというとナイアガラトライアングル参加前に近いテーマの曲かなと思います。でも、そこが肝心なところでこの次の曲が「Catch Your Way」。OVERLAPのレコーディング前に作られた「Catch Your Way」にすんなりリレーする重要な役目を持った曲です。しかも、この曲以降のアルバムにはしばらくモータウン枠が生まれるのだからニクイとしか言いようがありません。

お気に入りの歌詞:非常階段であったら 聞かせてハートのスケジュールを

Catch Your Way(Catch Your Way)

Catch Your Way日産のコマーシャル・ソングに使われました。スポンサーからの要望はJ.D.サウザーの「You're Only Lonely」のような曲というリクエストだったらしいんですけど、似ていたのはコード進行だけだったという逸話も・・・。この頃の杉さんはよく結婚式に呼ばれたらしくてそこでこの曲を歌うんらしいんですけどサビの「♪Catch Your Way」というトコロになるまで誰も気が付かないらしいんです。本人もサビにいくまでが本当につらいらしくて、そこに来ると急に声を大きくして歌ったりするというエピソードを昔聞いて大笑いした事があります(笑)1980年10月1日に3枚目のシングルとして発表されました。

お気に入りの歌詞/迷わずに 走り出せるさ きっと

さよならCity Lights(Goodbye City Lights)

メロディーごとのリズム・セクションのアレンジがカッコイイ曲です!フェードアウト直前のギターも良い味を出しています。OVERLAPのレコーディングの時この曲だけが最終日前日になっても出来ていないせいで、一人宴会にも参加できずにホテルにこもって作った曲がこの曲。そう言われてみると早く宴会に参加したいという焦燥感が曲調に表れているような気もします(笑)杉さんは割りとすぐに曲を作れるという印象があるので難産のエピソードは本当に意外に思ってしまいます。この曲から始まったシリーズとしてはアルバム・タイトルが収録曲中に登場するパターンがあります。これ以降新しいアルバムが出る度に今度はどこにアルバム・タイトルが登場するのかが楽しみの一つになったほどです(笑)

お気に入りの歌詞:変わらないものを 信じたいんだ

セリーナ(Selena)

イントロには後のアルバム「mistone」に収録の「タラップにて」にこの曲のイントロが登場します。そしてエンディングに登場するタイプの音は杉さんが自ら"I will marry you"と打っている音で、セリーナ役(?)は竹内まりやが担当しています。初めて行った杉さんのライヴはSTARGAZERのツアーだったんですけど、そこの中間部で「監督物語」という、ちょっとした劇のようなものがあって、そこで杉真理演じる映画監督が女優さん(セリーナ)に電話をかけるシーンでこの曲が使われました。その印象があまりに強くていまだにセリーナと言えば「監督物語」(笑)

お気に入りの歌詞:驚いてる顔が浮かぶよ なんて古いプロポーズ

恋のフォトグラフ(Young One)

Lonely Girl若かった時の2人の写真、うまく行かなくなった頃の2人の写真、そして何年後かに再会した時の2人の写真という時間の流れを表現した曲です。明るい曲調に切ない歌詞がキュンと来ます。この曲もアルバム「mistone」への流れにある曲といえます。6枚目のシングル「Lonely Girl」のB面に選ばれました。この組み合わせってこのアルバムの中では最強のカップリングだったと思います。ヘッドホンで聴くとギターが右と左で掛け合うのがユニークなアレンジです。

お気に入りの歌詞:砂時計の 砂の行方は 遠いどこかの岸辺

Downsloped Way(Downsloped Way)

Downsloped Wayまるで、イエスタデイを思わせるようなバロック調の1曲です。歌詞の内容はむしろ、「She's leaving home」という感じですけど。実はこの曲のギターってちょっと難しいんです。しかも1箇所低音弦をちょっと強めに弾くところがあって(CDで言えば17秒くらいのところ)そこまでみんなリアルにコピーするものだから余計に難しい。で、今度はそこに気をとられすぎると他を間違えてしまうという・・・(笑)中学生の時はよく教室に人を集めてライヴをやったんですけど、この曲は1度も止まらずに演奏する事が出来ませんでした(笑)今度久しぶりにライブでやってみようかな?街を出て新しい世界へと旅立ってゆく女の子の事を歌った歌でまるで洋楽の訳詩を読んでいる様な気持ちになります。切なさと力強さを兼ね備えた作品です。シングル「バカンスはいつも雨」のカップリング曲です。

お気に入りの歌詞/今日から彼女のBirthday 祝う人もないだろう

Teardops Are Falling(Teardops Are Falling)

Teardops Are Fallingコーラスで須藤薫が参加しています。そのせいかオールディーズ感がどの曲よりもアップしているような気がします。この曲は1982年8月25日に7枚目のシングルとしてカットされました。ジャケットはアルバムジャケットと一緒、B面はSimulation Game。A面の曲としてはOVERLAPからの最後のシングルカットでした。基本的にはアルバム収録曲だけのシングルって買わないんです。ジャケットが凝ってる場合を除いて。このシングルはどういうわけか例外で買ってしまいました(笑)名ジャケットですよね、このデザイン。最初は内気だった女の子を変えてしまったのは誰?という歌なんですけど、よくよく考えたらそれは自分だったという悲しい歌です。余談ですけど冒頭の”君をこの手で抱きしめた日が”というフレーズをずっと”君をこの手で抱きしめたいが”だと聞き間違ってました(笑)

お気に入りの歌詞:君にしてみれば 優しすぎた男 シュガー入れすぎた コーヒーのよう

ガラスの恋人(Glass-made Lovers)

ガラスの恋人Catch Your Way」と、この「ガラスの恋人」はアルバムOVERLAPのレコーディング前に発表されたので他の曲とは全然曲調が違います。アナログ盤で聴くとどちらもそれぞれの面の最後の曲になっているので気付きにくいですけど。B面の「街で見かけた君」はアルバム未収録曲だったので僕の周りの杉ファンは全員このシングルを持っていました(笑)今でも好きな別れた彼女の事を想う歌で、繊細な恋心の行方が切ないまでに歌われてます。杉作品の中でも1、2を競うほど好きな曲です。アルバムを締めくくるのにふさわしい名曲です。

お気に入りの歌詞:君がここに居てくれて 思い切り泣いてくれたら


収録曲目一覧

太字はシングル曲、Bonus Tracksは2007.07.25の再発盤のみの収録です。

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