杉真理の世界-Journey To Your Heart-

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A Radio Story

ジャーニー・トゥ・ユア・ハート(Journey To Your Heart)

Journey To Your Heart

杉さんと松尾清憲をメインにしたバンドBOXの2ndアルバムです。前作がビートルズ色で塗りつぶされていたのに対して今回はパイロットバッド・フィンガー10ccなどのフォロワー達の要素までが盛り込まれています。つまり今回はビートルズに影響を受けた人達の雰囲気を使ってビートルズの雰囲気をあぶりだすという恐ろしく高等テクニックに打って出たわけです。純粋なビートルズの雰囲気を求めていた人にとっては肩透かしを食らったような内容になりかねないところなんですけど、そこは持ち前のサービス精神で美味く乗り切っています。メロディーやアレンジではいつもの様にやりたい放題なんですけど今回は更に「寒い国からきたスパイ」の様に歌詞の方にまでその要素が盛り込まれています。それでいて身内ウケで終わっていないところにこのバンドのいい雰囲気を感じることが出来ます。そしてどの曲にも「あれ!?この曲確か・・・えっと・・・思い出せない」的な微妙なパロディーが満載で僕の様な古い洋楽好きにはたまらないアルバムになっています^^位置付けとしてはBOXピカデリー・サーカスの丁度中間点に位置するアルバムの様な気がします。まずは1曲目で度肝を抜かれてくださいね(笑)


発売日


★各曲の感想★

Journey To Your Heart(Journey To Your Heart)

まず最初のこの曲を聴いた時の正直の感想は「・・・?」と言うものでした。だってビートルズじゃないんですもの(笑)どちらかというとパイロットの「ジャニュアリー」を感じさせるような曲調!(事実最初の頃は僕はこの曲を「January(ジャニュアリー) To Your Heart」だと勘違いしていました(爆))で、我に返ったのが「♪〜草の匂いのするグランドの〜」の杉さんのソロ・パートの部分。そこで、もう1度頭に戻して聴き直した記憶があります(笑)実はこの曲は「ここから『君』(聴き手)の記憶への旅が始まるよ」という内容の曲なんです。そして同時に「今回はストレートなビートルズじゃないよ〜」という宣言でもあります。このアルバム全編を通して繰り広げられる懐かしい雰囲気への入口となる曲で、いきなりの飛び道具の炸裂になります。このアルバムは特に歌詞が印象的で色々な画面が頭の中に映し出されるんです。この曲では夏を見つめてる少女や外野フライを追いかける少年が頭の中に次々と。(ここだけ書くとタッチの世界だと思われちゃいますけど(笑))サブリナ以降の杉さんの歌詞って特にそうだと思うんですけど「映画が2時間かかって表現する事を3分のポップ・ソングに込めようとする思い」を感じるんです。決してストーリーを歌詞で追うんじゃなくて雰囲気として。この曲の良い所って「僕が君の心」を旅するって所ですよね^^BOXが僕たち聴き手の心を通り過ぎていくというニュアンスが斬新です♪

お気に入りの歌詞:草の匂いのする グランドの片隅で 金網ごし 少女は夏を見つめてた

Girl(Girl)

この曲を聴くとボーイズ・タウン・ギャングの「君の瞳に恋してる」を思い出しちゃうんです。彼等はビートルズのフォロワーではないのに(笑)実は「君の瞳に恋してる」もともとはフォー・シーズンズフランキー・ヴァリの放ったヒット曲なので時代的にはBOXで扱っても不思議ではないんですけど、僕としてはどうしてもボーイズ・タウン・ギャングのバージョンの方が・・・。世代としては仕方が無いんでしょうね(笑)この曲のクライマックスの圧巻はなんと言っても間奏部分。ビートルズペニー・レインのパロディーが堂々と入っています。しかもここだけ急にガラッと曲調が変わるところなんかは本当にニクイ演出です^^(しかも惜しげもなくブツッと切ってるし)1985年のSYMPHONY#10収録のアニーよ目を覚ませ!にもこのペニー・レインは登場しているんです。もちろん2度以上登場する曲はあるんでしょうけどペニー・レインは分かりやすいのでついつい書いちゃいます^^でも、今回はむしろペニー・レインをパロったパイロットのパロディーというニュアンスなのかも知れません(笑)曲の内容は好きな女の子を大切に守りたいという曲で、限りの無い優しさに包まれた雰囲気に包まれています。

お気に入りの歌詞:夢をみんな叶えるから 髪を切らないで

My Heaven(My Heaven)

松尾清憲ジョン・レノン・ワールドが今回も登場です。特に何の曲に似てるという訳でもないんですけど確かにジョンを感じます。それは今回のテーマである「フォロワーで表現するビートルズ」の世界観なんでしょう。もっとも、そのテーマは僕が勝手に決めたんですけど(笑)この曲にも各フレーズやコーラスにも色々と仕掛けがあるんですけど、何故だかそういう事を考えさせない神聖な雰囲気を持っています。強いて言えばこの曲の後半に「So I love you」というフレーズがあるんですけど、このメロディーの雰囲気はジョン・レノンを聴き込んだ人ならではのフレーズなんですよね。ポールが頭をよぎるとこうはならない(笑)きっと松尾氏にとってのジョンは意識してるとかのレベルではなくて完全に体に沁みこんでいるんだと思います。そう考えると本当にうらやましいです^^

お気に入りの歌詞:家路を急ぐ ツバメのように ミツバチのように 君に帰ってゆく

Roxy Queen(Roxy Queen)

I Saw Her Standing There」を感じさせる雰囲気からスタートするロックン・ロール・ナンバーです。実はこのアルバムの中ではエミリーのいない週末と並んで数少ないビートルズ風の曲です。その鍵を握っているのが実は冒頭に時々顔を見せるベースライン。このベース・ラインで弾いた全ての曲が「I Saw Her Standing There」に聴こえてしまうという魔法のラインなんです。僕もライヴの時にフレーズに困るとよくこのラインを弾いて遊びました^^機材もギターはグレッチ&リッケンバッカーを、ベースはカール・ヘフナー使用というこだわりよう。歌の方も杉さんのヴォーカルがメインになったりハモリになったりと行ったり来たりするのがとてもユニークで、これはビートルズ風というよりBOX風と言っても差し支えないような気がします^^ビートルズっぽい曲というと、ほとんどの人がマイナー・タイプの曲をやるじゃないですか?そういう中でこういうシンプルなロックン・ロールを選んで、しかもそれでビートルズっぽさを再現できる辺りがBOXの只者じゃないところなんです。最後に「ヒットメーカーの悲劇」が登場するサービス精神にも脱帽です^^

お気に入りの歌詞:テクニカラーのハートが 悩ましいのさナイチンゲール

寒い国から来たスパイ(The Spy Who Came In From The Cold)

スパイと言うと連想するのは『007』シリーズ。そして『007』シリーズと言えばボンド・ガール。と、いう訳でここではボンド・ガールに固執するスパイの姿が歌われています。命がけで得た情報の引き換えがボンド・ガール(笑)でも考えてみれば僕が子どもの頃って『007』シリーズはちょっとエッチな映画というイメージがあったんです。なんだか全編にエロティックな雰囲気があってドキドキしながら見てた記憶があります(笑)子供の頃ってなんか敏感じゃないですか、そういう所に^^(共感してくれる人少ないでしょうけど(笑))だからこの曲の着目点には共感できるんですよね。最初に聴いた時は笑っちゃいましたもん。単なるウケ狙いのギャグではなく、「心の中の記憶の旅」がここでも再現されているわけです。しかも前作の「宇宙家族ロビンソン」なんかよりも生々しく(笑)この曲はそういう子供の頃の視点を大切に持ってる彼らの遊び心の真骨頂という気がします。

お気に入りの歌詞:情報と引き換えに ボンドガールを

僕たちいつかお会いしてませんか?(Haven't We Met Somewhere Before?)

杉さんのお得意というか杉さん以外の人には書けないタイプの曲です。杉さんのアルバムに入ってても良さそうな曲なのに今まで無かったタイプの曲です。内容としては「It's Time」から始まった出会い(巡りあい)の神秘を歌った曲で、人との出会いを大切にしてきた杉さんの人柄を知る事が出来るような気がします。今回は宇宙全体というよりはこの地上から見渡した世界観で書かれているので、今までの同様の曲の中でも最も身近な感じがします♪昔の映画で「天国からきたチャンピオン」って映画があって、天国の手違いで死んじゃった主人公が生き返ってアメリカン・ボウルに出るという話で、その主人公が何度か生まれ変わってヒロインと再会するラストシーンがあるんです。ここは何度見ても泣いちゃうんですけど(笑)この曲にはその映画の質感が詰まってるような気がするんです。この曲に限らず杉さんの曲全般に言える特徴なんでしょうけど。短い時間の中にメロディとサウンドと詩と歌い方で世界観を詰め込むんです。その情熱ってすごいと思うし、音楽の本質だと思うんですよね。例えば今の杉さんからしたら当時のビートルズなんて若造じゃないですか?その若造の作った曲を懸命に再現するのって実はさっきの映画の話と一緒で「その時感じた気持ち」も詰め込みたいんだと思うんです。だからこんなに機材も音楽論も発展した今でも情熱的に丁寧に音楽を作れると思うんですよね。曲調だけを器用になぞったようなビートルズ風の曲が多い中、BOXの曲が心を打つのは実はそこにポイントがあるんじゃないかと思います。

お気に入りの歌詞:思い出も 名前さえ もう失くしたけど 心のオルゴールは くり返していたよ

I beg you please(I Beg You Please)

ある意味このアルバムの中で一番キャッチーな曲の様な気がします。バッドフィンガーの大ヒット曲「嵐の恋」を明るくした感じとでも言うんでしょうか。ここまで聴いてきて改めて思うのがこの人たちは本当に心のそこから音楽が好きなんだな〜と言う事です。佐野元春大瀧詠一浜田省吾ももちろんその他の人も僕の好きな人たちはみんな洋楽を心から愛してるんですよね。そしてそれを真正面から表現してるんです。杉さんはその中でも一番純粋でビートルズというキーワードに一致するアーティストや曲を選んでます。だから誰よりもビートルズ愛を感じるんです。他の人がやるビートルズっぽさとは全然違うんです。マニアックな話題を色々自慢げに話す洋楽博士というのとは全然違って、「これ聴いてみない?」ってレコードを貸してくれる友達の様な存在なんです。だから杉さんの曲からは「ねぇ、みんなもっと音楽を愛そうよ!」と語りかけられている気がします。初めて聴いた曲なのにある特定の時代を思い浮かべてしまう素敵な懐かしさがこの曲にはあってそれは本当に素晴らしい事だな〜としみじみ感じます。曲の内容は彼女の事をあきらめかけている「君」を励ます歌で、「世界は君を待っている」の様なジョン・レノン風の歌詞も登場します^^

お気に入りの歌詞:落ち着くのさ 雨の日ばかり 続かないぜ

ニ丁拳銃の悲劇(Theme From "Lonesome Westen Days")

小室和之氏のリード・ヴォーカルによる曲で『Swingy』収録の「Inspiration」の様にシナリオ・ライターを題材にした曲です。正確には「二丁拳銃の悲劇」というよりは「二丁拳銃のカウボーイの話を書いたシナリオ・ライターの悲劇」という感じです(笑)実はこのアルバムで唯一杉・松尾ペアの純粋な作品ではないのがコレ。でも、全然違和感ないですけど^^一番のポイントは西部劇の歌なのにカントリー調の曲では無いと言うのがポイント(笑)でもちゃっかりビートルズの「ロッキー・ラックーン」の音を借りてきてその雰囲気を盛り上げています。この辺からはかなり芸の細かさを感じることが出来ます。と、言うのも実は「ロッキー・ラックーン」の歌詞の中に古い西部の様な歌詞があって・・・ってこう思うのは僕くらいなのかも知れないのでここでやめておきますね(笑)

お気に入りの歌詞:こんなひどいシナリオ お目にかかれて光栄さ

エミリーのいない週末(Emily Makes Me Cry)

マイナー・タッチの曲でこのアルバムでは最も典型的なビートルズ風の曲です。ともすれば前作に入ってても違和感が無かったかも知れません^^ちょっと違うのは中間部の杉さんのパートはビートルズと言うよりソロになった後のポール的な感じがします。それにしてもこの曲は雨の降ってる感じが音で本当に良く表現されています。この曲を聴くと行った事も無いアビー・ロードの街に雨の降ってるところを想像してしまいます(笑)ちなみに歌い出しの「Cry」のフレーズは「バカンスはいつも雨」に出てくる「Cry」に似てますよね。松尾清憲が歌っているけど実は杉さんの曲ではないかと密かに想像しています。実は杉パートの方は松尾清憲のメロディーだったりして。こんな想像もBOXの楽しみの1つです。

お気に入りの歌詞:形の無い愛は たしかめられなくて 守りきれないのかい

夢みるメアリー(Mary, I Like The Morning Sun)

メアリーと聞いてビートルズ・ファンの頭をよぎるのはメアリー・ホプキン(東芝EMIのアーティスト名は現在メリー・ポプキンです)。途中の歌詞に「ケ・セラ・セラ」も出てきますし^^実は「ケ・セラ・セラ」と言ってほとんどの人が思い浮かべるのはメアリー・ポプキンではなくてドリス・デイの方ですよね。このドリス・デイビートルズの歌詞に登場しますけど^^(『レット・イット・ビー』収録の「ディグ・イット」という曲です)ヒッチコックの映画「知りすぎた男」で印象的に使われていました。じゃ、メアリーは違うんじゃ・・・と思いますよね。実はこの「ケ・セラ・セラ」はポール・マッカートニーのアレンジでメアリー・ポプキンによってカバーされているんです。彼女はTVのオーディション番組で勝ち抜き、ポールに見出されたという経緯を持っています。・・・と、どうも今回の『Jorney To Your Heart』は曲そのものから脱線してしまう傾向があるんですよね(笑)それもこれも杉さんが微妙なパロディーを仕掛けて来るからなんです(言い訳)。歌い出しの瞬間は「彼女のイミテーションリング」を一瞬思い出しちゃいますよね^^余談ですがポールの娘さんの名前もメアリーです(笑)

お気に入りの歌詞:彼女の名はメアリー デビューした日のまま 歌い続けてる

Broadway Showへようこそ(Open The Broadway Show)

これもビートルズの代表曲「Got To Get You Into My Life」辺りの雰囲気をひしひしと感じます。しかもBOXと言うよりも杉さんのソロっぽい(笑)そういう意味ではビートルズの後期のポールの役割までここでパロディーしている事になります。歌詞だけ見れば『Mistone』の「Punic in Submarine」みたいなんですけど、曲調の違いでかなり違う雰囲気になっています^^この曲の聞き所はもちろんブラスなんですけど、実はもうひとつあるんです。それはギターのソロだと思ってて、よく聴くと入り部分ではビートルズっぽいフレーズから入っていくのに、ソロを続けるうちにだんだんドリーマーズのマー坊にフレーズが戻って行く様なプレイを繰り広げています。それがなんだかこの曲をBOXとしての最後の曲だという事の印象を更に強めているんです。(事実、演奏はこの曲が最後なんです。)オープニングとしても使えそうな曲なんですけど、それはある意味ではピカデリー・サーカスへの序章という事なんでしょうか。記憶の旅の終わりに相応しい展開だと思います♪

お気に入りの歌詞:天国を見つける言葉 Open the Broadway Show

君の瞳のRainbow(Rainbow In Your Eyes)

おそらくアルバムの構成上は前の「Broadway Showへようこそ」がラストの曲なんだと思うんです。この曲は映画で言えばエンド・ロ−ルの時に流れる音楽の様なものじゃないかと思います。ここは記憶の旅の思い出をかみしめる時間なんです。だからあえて前作『Ladies&Gentleman』収録のこの曲を持ってきたんだと思います。それとCDに対する配慮ですよね。リピート再生をかけると「Broadway Showへようこそ」の後がいきなり「Journey To Your Heart」。これはやってみると分かりますけどかなり危険な曲順です。でもこの「君の瞳のRainbow」を1曲はさんだだけですんなりと1曲目に戻れるんです。こういった細かい配慮もセンスのウチですよね^^

お気に入りの歌詞:誕生日を おぼえてくれてた君といたいよ


収録曲目一覧

※Bonus Tracksは2008.11.19の再発盤のみの収録です。

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